全身の柔軟性を高める真向法のエクササイズ紹介

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日本発のストレッチ体操「真向法」をご存じですか?股関節を中心に動き、股関節を柔軟にすることに焦点を当てた4つのエクササイズで構成された体操です。シンプルな動きですがその効果は絶大で全身の柔軟性を高めることができるんです。この記事ではそんな「真向法」のエクササイズのやり方や効果を紹介します。

真向法とは

真向法とは仏教の礼拝にヒントを得てこれを体操化したものです。

礼拝=お辞儀ですね。

身体を深く折る丁寧なお辞儀は腰、股関節を中心とした屈曲運動です。

このお辞儀を座った状態で行うのが「真向法」です。

真向法の体系

真向法は4つの体操からなっており、
それぞれスタート時の座り方が異なります。

第一体操は楽座から、第二体操は長座から
第三体操は開脚から、第四体操は割坐から始めます。

そのため教える人によっては真向法を「座法」と「行法」
に分ける方もいます。

体操は第一体操から第三体操までを続けて2セットから3セット
行った後に第四体操を1回(30秒~1分ほど)行います。

トータルで3分~5分間くらいの体操です。

それぞれの基本動作を説明します。   

真向法の基本動作

真向法の第一体操から第三体操までは腰を前に屈曲する体操で
第四体操は後ろに反らす体操です。

詳しく説明しますね。

第一体操

第一体操の座り方と体の倒し方です。
第一体操は仙腸関節や股関節を柔らかくする体操です。

座り方

第一体操は楽座(がくざ)から始めます。

楽座とは「赤ちゃんずわり」のこと。
お雛様もこの座り方をしています。

まず、両足の裏を揃えるように座ります。
踵と体はこぶし一個半程度空けてます。
このとき足の裏は合せずにできる限り上を向くようにします。

両ひざは床に着くように。
どうしても膝が浮いてしまいますし、左右の高さが違う人が大半だと
思いますが気にせずに、少しづつ床に近づけていきましょう。

この時に一番大事なのは「腰を立てる」ことです。
理由は腰が後傾(後ろに倒れた状態)してしまうと背骨が曲がってしまうから。
これは第二体操や第三体操でも共通するポイントです。

理想は赤ちゃんの座り方。
膝が床にべったりと着いていて、腰も自然な感じで立っています。
しかも体に無駄な力が入っていませんね。

体の倒し方

正しく座ることができたら体を倒していきます。
お辞儀をするようなイメージです。

この時の屈曲の中心は股関節です。

目線を極端に下げずにやや前方を見ながら、お腹を突き出すようにします。

呼吸は止めずにゆっくり吐きながら行います。
力強く吐き出すと力みが出ますから「息を抜く」くらいの意識のほうがよいです。

腹→胸→頭の順に床に近づけていき、息を吐ききった時が倒し終わりです。

体を倒しきったらスッと自然に息を吸いながらやや早めに体を起こします。
呼吸に合わせて起こしましょう。

これを10回ほど行います。

第一体操の完成形はへそが踵に着いた形です。

第二体操

第二体操の座り方と体の倒し方です。
第二体操は脚の裏側の筋肉や筋を伸ばす体操です。

座り方

第二体操は長座から始めます。

膝を真っすぐに伸ばし、前に投げ出すように座ります。
両脚は揃えましょう。

「腰を立る」のは共通ですが、第二体操のポイントは
「足首を返す」こと。

目安は七〇度くらい。
足首を返す時に膝が伸びてしまう方は踵を押し出すようにすると良いです。

横からみるときれいな「L字形」になるように座るのが目標です。
「腰が直角に立つ」「膝が伸びる」「足首が鋭角に返る」
この三条件が揃うときれいなL字形になります。

しかしこれがなかなか難しい!
腰を立てれば足首が緩み、足首を返せば腰が引ける、両方が出来れば
膝が浮くなどうまくいきません。

この場合は「腰を立てる」→「足首を返す」→「膝を伸ばす」の優先順位で
整えていきましょう。

第二体操は脚の裏側の筋肉群や筋を対象にした体操です。
これらの筋肉が固く萎縮していると骨盤が引っ張られ、腰や背中が曲がり
股関節をうまく使えなくなります。

第二体操で脚裏の柔軟性を取り戻しましょう。

体の倒し方

L字型に座ることができたら体を倒していきます。
お辞儀をするようなイメージです。

この時の屈曲の中心は股関節です。

肩の力を抜き、両手を床に着けて脚の外側に沿うように前に滑らせて行きます
こうすることにより、腹→胸→頭の順に体を倒すことができます。

呼吸は止めずにゆっくり吐きながら行います。
力強く吐き出すと力みが出ますから「息を抜く」くらいの意識のほうがよいです。
息を吐ききった時が倒し終わりです。

体を倒しきったらスッと自然に息を吸いながらやや早めに体を起こします。
呼吸に合わせて起こしましょう。

これを10回ほど行います。

第二体操の完成形は腹が膝に着き両手で足裏をつかんだ形です。

第三体操

第三体操の座り方と体の倒し方です。
第三体操は内転筋を伸ばし両足を開脚して骨盤を広げる体操です。

座り方

第三体操は長座から両脚をできるだけ開いた開脚から始めます。

両脚の角度は130~150度くらい開脚できるのが理想です。
最大でも150度が限度とします。

「腰を立る」のは共通ですが、第三体操のポイントは第二体操と同様に
「足首を返す」こと。

目安は七〇度くらい。
足首を返す時に膝が伸びてしまう方は踵を押し出すようにすると良いです。

「腰が直角に立つ」「膝が伸びる」「足首が鋭角に返る」
この三条件が揃うときれいな形になります。

これがなかなか難しく、腰を立てれば足首が緩み、足首を返せば腰が引け、
両方出来れば膝が浮くなどうまくいきません。

この場合は「腰を立てる」→「足首を返す」→「膝を伸ばす」の優先順位で
整えていきましょう。

第三体操は内転筋を伸ばし両足を開脚して骨盤を広げる体操です。
骨盤を広げることにより、骨盤中にある臓器(膀胱、子宮、前立腺、直腸、肛門)
などの充血、うっ血、コリなどを改善します。

第三体操で内臓のはたらきを良くしましょう。

体の倒し方

正しく座ることができたら体を倒していきます。
この時の屈曲の中心は股関節です。

両手を床に着けて腹→胸→頭の順に体を倒します。
正座でのお辞儀を開脚でするようなイメージですね。

注意点は「脚は前に倒さないこと」
足首と床の角度は座った時と同じ角度を保つようにします。

呼吸は止めずにゆっくり吐きながら行います。
力強く吐き出すと力みが出ますから「息を抜く」くらいの意識のほうがよいです。
息を吐ききった時が倒し終わりです。

体を倒しきったらスッと自然に息を吸いながらやや早めに体を起こします。
呼吸に合わせて起こしましょう。

これを10回ほど行います。

第三体操の完成形は両肘が床に着き背中が床と並行になることです。

第四体操

第四体操の座り方と体の倒し方です。
第四体操は足首や脚の前側の大腿四頭筋を伸ばす体操です。

座り方

第四体操は割座から始めます。

割坐とは正座した状態から両足をお尻の幅だけ開き、そこへお尻を落として座るものです。

そのため正座よりも膝の曲げが深くなります。
膝の調子が良くないかたは無理をしないようにしてください。

「腰を立る」のは共通です。
割坐に慣れていないと背中が曲がりますが、腰を立てて背筋をまっすぐにしましょう。

割坐が出来ない方はまずはお尻の下にクッションや座布団を二つ折りにして敷いて
お尻の高さを調整してみてください。

お尻の高さを高くすると膝や脚の前側、足首の張りや痛みが和らぎます。
慣れてきたらお尻の下の敷物の厚さを薄くしていきましょう。

片方の足だけを割坐にしてもう片方は伸ばして座り割坐に慣らす方法もあります。
敷物を使うやり方と併用して練習すると効果があがります。

第四体操は今までの体操とは違って体を後ろ側に倒しますので割坐が敷物なしで
出来るまでは体は倒さないようにします。

第四体操で膝や足首の柔軟性を取り戻しましょう。

体の倒し方

正しく座ることができたら体を倒していきます。
第四体操は後ろに体を倒します。

まずは両手を床に着けて体を倒します。
次は肘をついて、最後は床の上に頭や背中をつけて完全に倒れます。

完全に倒れたら両腕を真っすぐ伸ばし万歳の格好になります。

第四体操は反復動作ではありません。
体を倒し終わったらそのまま30秒~1分間くらい姿勢を保ちます。
呼吸は止めずにゆっくりと腹式呼吸をしながら。

体を起こす時は折った膝を浮かして片方ずつ静かに伸ばして終わります。

注意点は「無理に身体を倒さないこと」
第四体操は体を倒す角度を調整するのが難しい体操です。

足首や腰が痛く深く倒すことができない方は背中に座布団やクッションを敷き
高さを調整すると良いです。
割坐に慣らす方法のように片方だけ割坐にして体を倒す方法も体を逃がし易くおススメです。

第四体操の完成形は腰・背中が床に着き両腕を頭上に上げた形です。

安全に始めるためのポイント

真向法を安全に始めるためのポイントで一番重要なことは
「正しい姿勢で始めること」

そのため、いきなり体を倒すのではなく「座り方」をマスターする
ことが大事です。

楽座・長座・開脚・割坐などをしっかりと腰を立てた正しい姿勢で
座るのは意外と難しいことです。

この正しい姿勢で座れるようにするだけでも効果はありますので
じっくりと取り組みましょう。

真向法の効果

真向法の効果について説明します。
真向法にはさまざまな効果がありますが、
特に顕著な3つについて紹介します。

姿勢の改善

真向法は「腰を立てた姿勢」「股関節から動く」ということを重要視します。

この二つを意識することにより姿勢の維持に重要な役割を持つ「大腰筋」や「腸腰筋」
などの深層筋を刺激して活性化することができます。

言い換えると大腰筋や腸腰筋が柔軟で活性化していれば腰を立てて、股関節から動くことが
できると言えるでしょう。

腰は身体の要であり腰が曲がると姿勢も曲がります。
股関節は上半身と下半身をつなぐ関節の一つでここが固いと動きの中での
姿勢の維持が難しくなります。

また、下半身の筋肉や関節が固くなるとこれらに引っ張られて骨盤などが
傾きやすくなります。

真向法により下半身の筋肉や関節の柔軟性を取り戻すことにより、骨盤の傾きを
防ぎ、姿勢が崩れのを防止することができます。

代謝の活性化

真向法は主に下半身の筋肉や関節を柔軟にします。

ヒトの筋肉の60%から70%は下半身が占めています。

筋肉は体を動かすエンジンの役割りだけでなく血流を良くする
ポンプの役割りを持っています。
筋肉の収縮で血液を送り出すんですね。

固い筋肉よりも柔らかい筋肉のほうがよりポンプ効果が高いのは想像できますね。

真向法により柔軟性を取り戻した筋肉の高いポンプ効果により体中の隅々まで
血液を送ることにより代謝が活性化します。

気持ちが前向きになる

姿勢は精神状態に影響を受けます。
逆に精神状態が姿勢に影響を及ぼすとも言えます。

姿勢は「姿」の「勢い」と書きます。
胸を張った姿勢でいるのに気分が落ち込んでいる人はいません。

真向法により姿勢を改善し身体の代謝を上げて筋肉の萎縮やコリを
とると体は柔らかく伸びやかになります。

そうすると気持ちも伸び伸びと前向きになっていきます。

私的にはこれが真向法の一番の効用だと思います。

まとめ

今回は真向法を紹介しました。

真向法は第一体操から第四体操までの4つの体操で構成されています。

それぞれの体操の「座り方」と「体の倒し方」を紹介しました。
各体操はスタートの座り方に違いがあり
 ●第一体操⇒楽座
 ●第二体操⇒長座
●第三体操⇒開脚
 ●第四体操⇒割坐
でしたね。

体を倒す際の共通のポイントは「股関節を中心として体を倒す」でした。
そのために大事なポイントは「腰を立てる」こと。

真向法は畳一畳ほどのスペースがあればできる体操です。

時間的にも第一~第三体操をそれぞれ10回を2~3回、
第四体操を30秒から1分間行っても3分から5分程度でできます。

正しい座り方を錬修するだけでも効果はあります。
座り方の錬修はポイントさえ押さえていればテレビなどを見ながら
でも出来ますね。

真向法は長井津(わたる)という方が自身の病を克服するために
創った体操です。
そして真向法により半身不随を克服されました。

簡単な動作ですが確実に効果が期待できます。
毎日僅かの時間でも結構ですので真向法で心と身体の柔軟性を取り戻しましょう。

この記事が皆様の身体創りの一助になれば幸いです。

プロフィール
オワス

九州生まれ北海道在住1968年生まれ 
武道・武術などを通じて日本古来の文化に出会い、以来30余年にわたり身体運用や心身を健康に保つ方法などを学び日々の生活に取り入れ楽しくすごしています。
「この素晴らしい文化を少しでも多くの人に知ってもらいたい!」とこのサイトを立ち上げ情報発信しています。

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