「船こぎ運動」をご存じですか?その名のとおり船をこぐ動作に似た運動です。簡単な動きで場所も取らない運動ですがその効果は高く、姿勢改善や精神の安定など広い範囲にわたります。この記事ではそんな「船こぎ運動」のやり方とその効果を紹介したいと思います!
船こぎ運動とは
「船こぎ運動」とはもともとは神道の禊(みそぎ)の行法を簡易化したものです。
簡単な動作ですがその効果は高く、姿勢改善や精神の安定など広い範囲にわたります。
合気道の鍛錬法(準備運動)としても取り入れられている運動でもありますね。
最近ではお産を促す体操として紹介している方もいます。
船こぎ運動では下腹部にある丹田に力が入りますので
私も記事をみてさもありなんって思いました。
丹田を意識してすることは身体面にも精神面にも良い効果があります。
船こぎ運動は丹田を鍛え整えるのに適した運動の一つです。
船こぎ運動のやり方
船こぎ運動のやり方です。
船をこぐ動作に似ていることからこう呼ばれています。
簡単に説明すると
1 両足を前後に開き
2 上半身を前後に移動しながら
3 その動きにあわせて両手を振る
という動きです。
それぞれ詳しく説明します。
両足を前後に開く
両足を前後に開きます。
開く幅は肩幅程度が目安です。
ただし、あまり気にする必要はありませんので
ご自身の体調に合わせて結構です。
それよりも気を付けたいのは膝の向き。
前足のつま先を真っすぐに前を向けるようにしてください。
こうすることにより膝も真っすぐ向きます。
特に前足の膝の向きは重要です。
理由は膝を痛めないため。
上半身の移動により重心が移動しますが
この時に膝が斜めを向いていると必要以上の負荷が膝にかかるためです。
後足は正面に対して斜め30度から45度くらいに開きます。
最初は左足を前に出して所定の回数行った後、足を変え右足を前に出して行います。
上半身を前後に移動させる
上半身を前後に移動させます。
この時重要なのが「腹圧を感じること」です。
腹圧とは「腹腔内部にかかる圧力」のこと。
お腹に張り感や充実感を感じることができたら成功です。
腹圧を高めるコツは「体軸を移動させること」
腰から上だけを前後に傾ける人がいますがそうではありません。
頭~胸~お腹~骨盤を貫く線をイメージしてこの線を前後に移動させます。
なので前に移動するときは前足の膝が曲がり、後ろに移動するときは後足
の膝が曲がります。
体軸がしっかりと移動しているのであれば、それに伴う体の傾きはOKです。
無理に体を固めることはかえってよくありません。
人によっては「前に移動したときに腹圧を感じる」というタイプと
「後に移動したときに腹圧を感じるタイプ」とがありますがどちらでも構いません。
大事なのは「上半身を移動したときに腹圧を感じる」ことなのです。
(できれば両方で感じることができるのがべストですね。)
両手を振る
両手を振ります。このとき拳は軽く握ります。
前に振るときは手の甲を前に向け下からすくい上げるように手を出していきます。
後ろに振るときは下からすくい上げた手を円を描くようにして腰の横あたりに引き付けます。
「船こぎ」なので横からみると手で〇を描くように意識してください。
ここで一つ注意点があります。
腕を振るというと意識的に腕を動かすイメージですが、
どちらかというと「上半身の移動につられて腕が動く」ようにしてください。
腕を前に振るときは
「上半身が前に移動して前足に体重が乗ったくらいでやっと腕が前に振られる」
感じです。
後ろに振るときはその反対ですね。
「上半身が後ろに移動して後足に体重が乗ったくらいでやっと腕を後ろに引き付ける」
ようにしてください。
「振り子」のイメージです。
肩の力を抜いて体軸の移動に任せて腕を振りましょう。
回数や呼吸など
船こぎ運動を行う際の回数や呼吸などについて解説します。
回 数
船こぎ運動を行う際の回数ですがご自身の体力・体調に合わせて行ってください。
回数ではなく時間で区切っても良いです。
前後に上体を移動させると約1.5秒~2秒くらいかかります。
20回ですと約30秒~40秒ほどですね。
身体のバランスをとるために前に出す足を変えて行うようにしましょう。
(ただし片方の膝の調子が悪いなどの場合はこの限りではありません。)
体力に自信のない方は片方20回、両方で40回くらいから始めてみてください。
時間でいうと1分から1分半くらいです。
呼吸について
呼吸は自然にして結構です。
上半身の移動により腹圧を感じながら動けば自然な呼吸のリズムが
生まれますのでその呼吸に乗ってください。
合気道などでは左足前の時は「エイ、ホッ」 右足前の時は「エイ、サッ」と
掛け声をかけます。
興味のある方はこれを試してみるのもよいでしょう。
船こぎ運動の効果
船こぎ運動は身体面と精神面ともに高い効果があります。
それぞれ説明します。
身体面への効果
身体面への効果のうち代表的なものを紹介します。
姿勢の改善
船こぎ運動では重心の移動により「腹圧を感じる」ことが重要であると書きましたが
この「腹圧を感じている場所」がいわゆる「丹田」なんです。
(正確には「丹田辺り」ですが)
丹田に重心が乗っている状態ですと、無理や無駄な力で体を支える必要がなくなるので
自ずと姿勢が良くなります。
船こぎ運動は全身運動
船こぎ運動は背中や脚、体幹など主要な筋肉に刺激を与えることができる
全身運動です。
足幅を狭くして膝の曲げ方を少なくすれば負荷は小さく、反対に足幅を広くとり膝を
深く曲げれば負荷は大きくなりますのでご自身の体力・体調に合わせて負荷を変える
ことができます。
バランス調整機能の向上
重心移動に伴う「バランス調整機能」の向上も期待できます。
能動的に重心を移動させることにより
腰や背中、膝や足首など体重を支えるための重要な部位を
それぞれ連携させながら働かせることができます。
精神面への効果
ここではなぜ精神の安定について効果があるのか解説します。
丹田を感じる効果
船こぎ運動で「腹圧を感じている場所」がいわゆる「丹田」であることは紹介しました。
丹田は身体の重心点ですのでここに重心が乗っていると身体が安定します。
身体が安定すると気持ちも安定します。
逆に言えば精神が安定していないと身体も安定しないということです。
船こぎ運動で腹圧を感じる⇒丹田に重心が乗っている⇒身体が安定する⇒精神が安定する
という図式が成り立ちます。
セロトニンの分泌を増やす
セロトニンとは「幸せホルモン」とも呼ばれる脳内物質です。
セロトニンにはノルアドレナリンやドーパミンなどを制御して
精神状態を安定する働きがあります。
セロトニンを増やす方法には
「食事」や「朝日を浴びる」などの他に「リズムのある運動をする」方法があります。
ウォーキングや水泳などですね。呼吸法なども該当します。
「単純な動作を一定のリズムで繰り返す」これがポイント!
船こぎ運動も一定のリズムで行うのでセロトニンの分泌増加を期待できます。
以前にこのブログで紹介した「簡単気功 スワイショウ」などもそうでしたね。
まとめ
今回の記事では「船こぎ運動」について紹介しました。
動作をおさらいすると
1 両足を前後に開き
2 上半身を前後に移動しながら
3 その動きにあわせて両手を振る
という動作でしたね。
それぞれに注意点があり
1 前足のつま先はまっすぐにする。
2 腹圧を感じながら上半身を前後に移動する。
⇒コツは体軸を移動させるようにする。
3 手を振るときは上半身の移動につられて腕を動かす
でした。
船こぎ運動の効果については
1 身体面では
● 姿勢の改善
● 船こぎ運動は全身運動
● バランス調整機能の向上
2 精神面では
「なぜ精神の安定に効果があるのか」を解説しました。
船こぎ運動は簡単な動作ながら身体面から精神面まで高い効果が期待できます。
ぜひとも日常の生活に取り入れてもらいたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事が皆様のからだ創りの一助となれば幸いです。
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