空手や柔道の帯をどこで締めてますか?「なんとなく」って方も多いと思います。じつは帯を締める位置は超重要なんです。この記事では帯を締める位置とその理由や効果を徹底解説します。正しい位置で帯を締めてパフォーマンスと練習効果をUPさせましょう!
道着と帯の歴史
現在の形の道着や帯を着て武術や武道の稽古をするようになったのは
明治40年頃からだということです。
これは洋装が主流となったためで、それ以前は当然和装でしたからね。
汗をかくため稽古着はありましたが、剣術や柔術なども袴と前合せの上衣を
着て稽古に励んでいました。
諸説はありますが、講道館柔道が現在の形の道着を取り入れ、
それが他の武道へと波及していったようです。
帯の役割と重要性
道着は前合せの上衣とズボン形の下衣、そして帯で構成されています。
その中で「帯」は、それまで着けていた袴の紐や防具の垂帯などの代わりに
下腹部を締める役割りを持っています。
これが身体運動をする上で非常に重要な役割を持っているのです。
その他には空手や柔道では帯の色によって段の保有や級位を示す役割もありますよね。
今はこっちのほうが主な役割になっているのかも…
道着における帯の位置
皆さんは帯を身体のどこで締めていますか?
ウエスト?それとも腰?
なんとなく締めているという方も多いでしょう。
道着における帯の位置、それは「骨盤の上方」です。
腰骨と言った方がわかりやすいでしょうか。
ウエスト付近にある出っ張った骨のところですね。
ここにかかるように帯を締めます。
※赤線が帯を締める位置、青線で囲っているのが腰骨
帯を締める位置の効果
帯を締める位置の効果はいろいろありますが
この記事では特に大きな効果を発揮する2つについて説明したいと思います。
その2つとは
1 身体を安定させる
2 動きやすさが向上
です。
帯が身体を安定させる理由
帯が身体を安定させる理由について説明します。
骨盤の安定
帯を骨盤の上方で結ぶと骨盤が締まり安定します。
骨盤は「背骨の土台」ですので、骨盤がしっかり安定することにより
背骨はリラックスした状態で土台の上に立つことが出来ます。
また、腹横筋や骨盤底筋などの「コアマッスル」と呼ばれる筋肉群に刺激を与え
体の中心(コア)である骨盤や背骨をより安定させます。
心の安定
帯を正しい位置に締めることにより心を安定させる効果を発揮します。
身体と心は密接に関係しており、心の動揺は身体のバランスに影響を及ぼします。
良いことがあったり、自信がみなぎっているときは自然と胸を張った姿勢になりますが
心配事があると胸を張った姿勢を維持することは難しいですよね。
骨盤が安定して正しい姿勢になれば、おのずと心も安定します。
また、帯を締める位置は「丹田」と呼ばれる位置です。
丹田は心と体の精気が集まるところで、やる気や元気、根気の源です。
帯を骨盤の上方に締めると丹田に意識が集まり丹田が活性化します。
その結果、心が安定するのです。
動きやすさが向上する理由
帯が動きやすさを向上させる理由について説明します
上半身と下半身との連携
骨盤は上半身と下半身をつなぐ役割を持っています。
骨格上では背骨と大腿骨は骨盤に接しており
筋肉で見れば腸腰筋や内転筋が背骨・骨盤と大腿骨をつなげています。
腸腰筋などのコアマッスルをうまく使えると上半身と下半身がうまく連携して
今まで以上の力を発揮することが出来ます。
ただし、コアマッスルは鍛えることが基本的に難しい筋肉です。
筋肉をうまく使うにはその筋肉を意識することが重要です。
筋トレでも鍛えている部位の筋肉を意識するように指導していますよね。
帯を締めることでこれらのコアマッスルを意識することができます。
重心のコントロール
帯を締める位置には「丹田」があります。
丹田付近は構造的には体の重心位置です。
武道やスポーツなど体を動かす際における重心とはバランスや安定性を保持する
ために重要な要素です。
運動能力が優れている人とは重心のコントロールに優れている人とも
言い換えることができるでしょう。
重心をうまくコントロールするには重心がまとまっていた方が良く、
また、移動した重心が移動する前の位置に素早く戻ることで次の動作に移行しやすくなります。
その際に重心をまとめる位置は体の重心位置がである丹田であるほうが自然です。
帯を締めることにより、身体感覚的に丹田を意識するようになり、重心のコントロールが
うまく出来るようになります。
特別な意味を持つ位置
帯を締める位置である「骨盤の上方」
ここは特別な意味を持つ位置です。
それはこの位置が「腹(肚・ハラ)」であるということです。
丹田とも関係するのですが、丹田は腹の中の一部分というイメージで
肚は下腹部から腰・骨盤などを含めた大きな感覚です。
日本人は昔から腹を大事にしてきました。
「腹を割って話す」「腹に収める」など腹に関する言葉が多く存在します。
武士が切腹するのも腹を重んじていた証左です。
そう考えると道着に帯を取り入れたのは必然であると思います。
道着の下衣は袴の紐など骨盤を締めるものがなくなり、その代わりに
腹を意識できる帯を取り入れたのでしょう。
腹を意識することが出来る「骨盤の上方」
ここに帯を締める意味がわかると思います。
いわんや日本文化である武道や武術においてですね。
まとめ
今回の記事では帯を締める位置について解説しました。
帯を締める位置それは「骨盤の上方」です。
ここに帯を締めると骨盤が締まります。
それにより得られる効果はいろいろありますが
今回は特に大きな効果を発揮する2つについて説明しました。
その2つとは
1 身体を安定させる
2 動きやすさが向上
でしたね。
洋装のベルトやスカートはお腹の上側を締めます。
残念ながらこれに慣れた現在は、帯も同じように締めている人も散見されます。
正しい位置で帯を締めると日本人が大事にしてきた
「腹」や「丹田」を意識し、活性化させることが出来ます。
いつもなんとなく帯を締めている人はぜひこの記事を参考にして
正しい位置で帯を締めてみてください。
その効果が実感出来ますよ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事が皆様の身体創りの一助になれば幸いです。
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