「肩こりがひどい」「肩のマッサージを受けてもすぐに元の状態にもどる」など、肩こりに関するお悩みはありませんか?その悩みの原因の一つは「腕の使い方」にあるんです。腕の使い方がうまくなれば肩まわりの悩みは解消します。それにはお相撲さんの基礎トレーニング「テッポウ」が最適!自宅できる「テッポウ」のやり方を紹介します。
相撲の「テッポウ」とは
お相撲さんの基礎トレーニング「テッポウ」をご存じでしょうか?
相撲の稽古場には「テッポウ柱」と呼ばれる木の柱があり、これを
両手で交互に突き押す動作を「テッポウ」といいます。
テッポウは四股と並んでお相撲さんにとってとても重要な鍛錬法で
「四股十両、テッポウ三役」という格言があるほど。
「四股やテッポウに真剣に取り組めば相撲の実力がグングン上がって
いくよ」ということですね。
「身体を鍛える効果」プラス「身体の使い方」も上達していく鍛錬法
なのです。
自宅でできる「テッポウ」トレーニング
テッポウを行うには「テッポウ柱」と呼ばれる柱でやるのが一番よいので
すが、自宅で柱ってなかなか難しい条件ですよね。
しかし、テッポウは壁を使っても良いし、なんなら空動作で行っても十分
に効果がでます。
そこで今回は「壁を使うテッポウ」と「空動作のテッポウ」を紹介します。
肩こりの解消などでは負荷の少ない「空動作のテッポウ」のほうがおススメ
ですが、少し負荷をかけたほうがテッポウの基本的な動き方を理解しやすい
ので「壁を使ったテッポウ」を先に紹介しますね。
壁を使ったテッポウのやり方
柱の代わりに壁を使います。
壁の角面を使った方が手首への負担が少ないのですが、
要領を掴みやすいのでまずは壁の平らな面を使います。
立ちかた
壁からやや離れて立ちます。
肘を少し曲げて壁に触れるくらいで結構です。
足は、つま先を外側に向け(45度ほど)肩幅くらいに開き、
膝は軽く曲げます。
壁に手を着く
左手を顔の高さくらいの壁の位置に着きます。
ここで重要なポイント!
それは、手を着くときに親指を下にして肘を上げた状態にすること。
これを相撲では「腕(かいな)を返す」といいます。
相撲中継などでもこの「かいなを返す」いう実況が聞けるんですよ。
どの場面かというと、力士が脇に腕を差し込んだ状態から相手力士の
上体を浮かした時などですね。
右手は脇を締めて壁に着きます。
左手とは反対に、親指を上に肘は下に向けるような感じですね。
壁に着いた手の肘を引く
左肘を引きます。
すると右半身が左方向へ投げ出されるような感じで動いていきます。
それに連動して右手が前に出ていきます。
右手が壁に当たってもらそのまま肘を引き続けます。
この時のポイントは左側の肩甲骨が動かないこと。
左肩甲骨は「腕を返す」動きでロックされているので動かないのが
正しいのです。
右の肩甲骨は「壁から押し返されて後ろに移動」しますが
ここは特に意識しなくても大丈夫。自然にそうなります。
ただしそういう状態になっているという感覚は持っておいてください。
右手が壁に着き、左肘が引き終わったら壁を押して最初の体勢に戻し
ていきますが、このときは腕を伸ばすというよりも右肩甲骨を使う
ようにします。
「壁から押し返されて後ろに移動した肩甲骨」を元に戻す感覚ですね。
手を替える
体がもとに戻った左手を右手を替えます。
今度は右手の親指を下にして肘を上げ、左手は親指を上にして脇を
締めて壁に手を着き、左手で壁を押していきます。
これを繰り返します。
まずは左右5回づつくらいから始めてみましょう。
空動作によるテッポウのやり方
空動作によるテッポウのやり方です。
壁など押すものがないので場所を選ばずに行うことが出来ますね。
立ちかた
腕を伸ばしてもぶつからない場所に立ちます。
つま先を外側に向け(45度ほど)肩幅くらいに開き、
膝は軽く曲げます。
腕を伸ばす
右手を顔の前に出します。
この時はまだ脇を締めた状態なので親指は上を向いています。
そこから、親指を下に向け「腕を返した」状態にします。
左手は手を開いて脇腹あたりに置いて準備しておきましょう。
肘を引く
右手が自分の顔の横前に来るように「肘」を引きます。
この時、引く動作に連動して左手が前に出ていきます。
出ていかないって方は腕の返し方が緩んでいますので
親指をしっかり下に向けて肘を上げるようにしてください。
ここは重要なポイントです。
肘を引く際は肘が肩より後ろにならないように注意してください。
手を替える
右手を引いた動きに連動して前に出た左手の腕を返します。
親指を下にして肘を上げます。
ゆっくりで良いのでしっかりと腕を返しましょう。
左手の動きに合わせて右手の親指を上に向け脇を締めます。
両手で〇を描く感じになれば👍ですが、最初は腕を返す動きを
意識してください。
慣れれば勝手に動きが連動しますので。
腕が返ったら左肘を引き右手を前に出していきます。
以下、この動作を繰り返します。
肩甲骨の動きを感じる
実際に壁を押すよりも空動作のテッポウのほうが肩甲骨の動きを感じ
やすいのでテッポウをやりながら少し肩甲骨を意識してみましょう。
腕の動きにあわせて回っている(ローリングしている)のが判りますか?
ポイントは「肘を使う」こと。
「肩甲骨を動かす」という意識より肘を使った結果「肩甲骨が動いている」
ようにしたほうが良いですね。
伸ばす手を反対側の肩の前にすると、より肩甲骨の動きが大きくなるんで
テッポウの動きに慣れてきたら試してください。
テッポウトレーニングの効果とは
テッポウトレーニングの効果については肩こりの解消や姿勢の改善など
いろいろあげることができます。
なぜ肩こりが解消されるのか
肩こりが解消される要因の一つとして「肩まわりの筋肉をゆるませる」
効果がテッポウにはあります。
肩まわりには僧帽筋や三角筋などの表面にある大きな筋肉の他に、
肩甲下筋や小円筋などの深層筋(インナーマッスル)と呼ばれる筋肉
が合わせて10コ程もあるんですね。
テッポウでは肩甲骨を回すように動かすため、これらの筋肉をまんべん
なく使うことができた結果、血流が促進され肩まわりの筋肉が緩むんです。
特に深層筋(インナーマッスル)は体の深いところにあり、姿勢の維持や
関節の細かな動き調整をする役目があります。
この深層筋は普段意識するのが難しく、テッポウというある種の特別な
動きによって意識し活性化させることができます。
腕・肩の使い方がうまくなる
テッポウでは「腕(かいな)を返す」ことが重要ですが
その理由は体幹の力を肩・腕に伝える動きとなるから。
一般的には、腕を上に動かすときは、肩を支点として腕自体を上げる
という動きになるんですが、これは肩に強い負荷がかかります。
一方、「かいなを返す」動きは肩への負荷は少ないのに、お相撲さん
の上体を浮かすほどの力が発揮できるんです。
実に効率的な動き方であるというのが判りますね。
毎日テッポウを続けることでこの動きが習性化して腕や肩の使い方が
うまくなり、その分肩などの負担が軽減します。
普段の生活でも「腕を返す」動きを意識してみてください。
姿勢改善とテッポウの関係
テッポウは姿勢の改善にも効果を発揮します。
テッポウの動きは肩甲骨を意識して行いますが、肩甲骨の動きに関連
する筋肉の多くは背中側にあります。
現代の生活ではパソコンやスマートフォンを操作するため、頭を下
に向け背中を丸める姿勢が多くなっていますよね。
しかもこの姿勢が長時間続きます。
この姿勢は代表的な筋肉でいうと肩甲骨と背骨をつないでいる菱形筋
という筋肉や首の付け根のあり頭を支えている筋肉の一つである僧帽
筋などに多くの負担をかけています。
これらの背中側の筋肉をテッポウにより緩ませることで筋肉は重心を感じ
取り、骨を重力に沿った正しい位置に戻すことが出来るようになります。
それが姿勢改善につながるんですね。
そして正しい姿勢は肩こりの解消にも効果を発揮します。
テッポウの注意事項
肩甲骨をゆるめ、腕や肩の使い方がうまくなるおいしいところだらけ
のテッポウですが注意事項があります。
それは「力みすぎない」ということ。
はやく肩こりを解消しようと頑張りすぎるのは逆効果です。
物足りないくらいの力感で十分、いや、そのほうが効果がでるんです。
より早く効果を出したい方は力感よりも「回数」を増やしてくださいね。
ただし「物足りない動き」と「適当な動き」は違います。
特に、腕を返す動きは正確に行ってください。
まとめ
今回は自宅でできる相撲の基礎トレーニング「テッポウ」を紹介しました。
「腕(かいな)を返す」動きが肩甲骨まわりの筋肉をゆるめ、腕の使い方
をうまくするポイントです。
テッポウのやり方を2つ紹介しました。
1 壁を使ったテッポウ
2 空動作のテッポウ
でした。
肩こりなどの解消には空動作のテッポウのほうが効果を感じやすいと思います。
テッポウを行う際の注意事項は1点
「力みすぎない」こと。
物足りないくらいが効果的です。ただし適当な動きならないようにしてください。
自宅で簡単にできるのに、「腕の使い方がうまくなる」「肩こり解消」
「姿勢改善」など様々な効果を得られる「テッポウ」トレーニング。
ぜひお試しください。
この記事が皆様のからだ創りの一助になれば幸いです。
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