身体をぐるぐる回すと体軸が整う「体軸まわし」とは?

トレーニング

スポーツや武道において姿勢の重要性は多く語られています。良いパフォーマンスをするためには良い姿勢でなければなりません。ただ「良い姿勢ってなに?」と思っている人も多いと思います。良い姿勢にはいろいろな要素がありますが、その中で「体軸が整っていること」が重要な要素の一つなんです。「体軸まわし」とは簡単な方法で体軸を整えることができるトレーニング。この記事ではそんな「体軸まわし」のやり方を紹介します。体軸を整えてより良いパフォーマンスを発揮しましょう!

体軸まわしとは

「体軸まわし」とは簡単な動作で体軸を整えることができる一種の体操で
私のこれまでの知識・経験とにより見つけたメソッドです。

体軸を時計回りと反時計回りに回すことで体軸が整えられるというものです。

体軸の強化はもちろん即効性があるため、試合や稽古前に行えば、パフォーマンスが
向上し練習効果もUPします。

体軸まわしのやり方

体軸まわしのやり方を紹介します。

体軸まわしは立位で行います。
立った状態で体軸を支持基底面上で時計回りと反時計回りに回します。
(支持基底面とは接地している両足とそれらが囲む範囲のこと)

体軸のまわし方は回すといよりも、体軸を左右の「前足部」「踵」の4か所
で順番に支えていくイメージですね。

前足部は「拇指球と小指球」「拇指球のみ」「小指球のみ」と体軸を支える
位置を変えていき、体軸を整えていきます。

一連の流れとしては
 1 左右の前足部(拇指球と小指球)と踵で体軸を支えて時計まわり・反時計回りに
   まわす。
 2 左右の拇指球と踵で体軸を支えて時計まわり・反時計回りにまわす。
 3 左右の小指球と踵で体軸を支えて時計まわり・反時計回りにまわす。
となります。

それぞれもう少し具体的に説明します。

前足部と踵で体軸を支える

最初は前足部と踵で体軸を支えて体軸をまわします。

前足部とは拇指球と小指球を結んだ部位で足の一番幅が広いところです。
この前足部の中央付近で体軸を支えるようにします。

「支える」というと腰を折って前足部に体重がかかるようにする方がいますが
体軸を曲げることなく前足部の中央付近に「合せる」といった感じですかね。
「乗る」というイメージでも良いでしょう。

重要なのは体軸を曲げないように意識すること。
他の部位で軸を支えるときにも共通する事項です。

まずは左足の前足部で体軸を支えて、次に右足の前足部⇒右足の踵⇒左足の踵
と体軸を支える部位を変えていきます。

こうすることにより時計まわりに体軸が回っていきます。

これを10周回行ったのち、反時計回りに体軸を回していきます。
先ほどとは逆に、左足の前足部で体軸を支えて、左足の踵⇒右足の踵⇒右足の前足部
と体軸を支える部位を変えていきます。

これも10回まわします。

この前足部と踵で体軸をまわす方法は、どちらかというと準備運動的な要素が強いので
気楽に行ってください。

ただし、体軸を曲げないように意識するということは守ってくださいね。

拇指球と踵で体軸を支える

次に拇指球と踵で体軸を支えて体軸をまわしていきます。

拇指球とは足の親指の付け根です。ここで体軸を支えます。

前足部と踵で体軸を支えたときと同様に体軸を曲げないように意識しますが
この時に重要なポイントが一つあります。

それは「膝と股関節で体軸の移動を誘導する」ということ。

具体的には拇指球で体軸を支えるときには「膝を曲げて」体軸の移動を誘導して
踵で支えるときには「股関節を曲げて」体軸の移動を誘導します。

まずは左膝を曲げて左足の拇指球上に体軸を移動させ、次に右膝を曲げて右足の拇指球上に
体軸を移動させます。今度は右股関節を曲げて右足の踵に体軸を移動させ、最後に左股関節を曲げて
左足の踵に体軸を移動させます。

これで時計回りの体軸まわしが出来ました。

反時計まわりはこの逆順です。
右膝を曲げて右足の拇指球上に体軸を移動させ、次に左膝を曲げて左足の拇指球上に体軸を移動させます。次に左股関節を曲げて左足の踵に体軸を移動させ、最後に右股関節を曲げて右足の踵に体軸を移動させます。

回数はそれぞれ10周行います。

膝の曲げ伸ばしにつられて体幹がしなります。
膝や体幹は動きますが体軸は曲げないように意識します。

小指球と踵で体軸を支える

次に小指球と踵で体軸を支えて体軸をまわしていきます。

小指球とは足の小指の付け根です。
大きな関節がある拇指球と違い小指球はイメージしにくいと思いますが
「小指球付近」でも結構です。小指から薬指の付け根を意識します。

拇指球と踵で体軸を支えたときと同様にこの時に重要なポイントが一つあります。

それは「胸で体軸の移動を誘導する」ということ。

具体的には小指球で体軸を支えるときには「胸を伸ばして」体軸の移動を誘導して
踵で支えるときには「胸を縮めて」体軸の移動を誘導します。

まずは左胸を伸ばして左足の小指球上に体軸を移動させ、次に右胸を伸ばして右足の小指球上に
体軸を移動させます。今度は右胸を縮めて右足の踵に体軸を移動させ、最後に左胸を縮めて左足
の踵に体軸を移動させます。

これで時計回りの体軸まわしが出来ました。

反時計まわりはこの逆順です。
右胸を伸ばして右足の小指球上に体軸を移動させ、次に右胸を縮めて右足の踵に体軸を移動させます。次には左胸を縮めて左足の踵に体軸を移動させ、最後に左胸を伸ばして左足の小指球に体軸を移動させます。

回数はそれぞれ10周行います。

胸の伸び縮みによりさせた体幹がしなり、その動きにつられて膝が伸び縮みします。
膝や体幹は動きますが体軸は曲げないように意識します。

体軸まわしの効果

体軸まわしの効果は4つ
 ① 簡単な動作で体軸を整える
 ② メンタルも整える効果がある
 ③ 体重移動がスムーズになる
 ④ 体軸を強化する
です。

簡単な動作で体軸を整える

体軸まわしは立位で体重を足裏の4か所に移動させるだけの動作です。
立位で行うため場所も必要としないし、動作が簡単なので、練習前や練習中
はもとより、試合などでも少しの時間があればすぐに行うことができます。

メンタルも整える効果がある

体軸が整うと全身の無駄な力が抜けて呼吸が深くなり、その結果
メンタルが整います。
一定のリズムで行う動作であることも気持ちを落ち着ける要素の一つです。

体重移動がスムーズになる

立位で動きながら体軸を整えるので体重移動がスムーズになります。
競技などへの応用も比較的簡単に行えるでしょう。

体軸を強化する

体軸を整えるのに即効性がある体軸まわしですが体軸を強化することにも
効果があります。
まだ体軸の感覚が薄い方はじっくりと取り組むと良いでしょう。

体軸の定義と重要性

体軸の定義と重要性について説明します。

体軸とは

一般的には「重心軸」を体軸と呼ぶことが多く、この記事においても重心軸を
体軸として書いています。

具体的には「頭頂部~胸~背骨の少し前~骨盤(丹田)~会陰」を貫く線のことです。
人が真っすぐに立った状態では重心がこの軸を通ります。

体軸とは感じるものですので人の目には見えません。
なので自分が「これが体軸だ」と感じていればそれは「その人の体軸」です。
あまり固く考えすぎないようにしましょう。特に身体を固めることは百害あって一利なしです。

体軸の重要性

体軸の重要性についてです。
いろいろありますがここでは2つ紹介します。

「力」を効率的に使うことができる

ヒトが身体を動かして力を出す時は「重み」と「筋力」が力の発生源です。
体軸が重心軸と一致していると「重み」と「筋力」を効率よく使うことができます。

例えば、頭部などは成人男性では5Kgほどの重さがあります。
この重さを移動する際の動力として使うことができれば効率的ですね。
重心軸と一致した体軸を前に倒していくと前進する力が自然発生するのは
想像しやすいでしょう。

反対に体軸と重心軸が一致していない場合は、移動に頭部の重みを使えない
だけではなく、約5Kgの頭部を首などの筋力で支えなければなりません。

本来、パフォーマンスに使うべき筋力を姿勢の維持に使うことになります。
これは筋力の無駄使いですよね。

体軸を整えることにより、「重み」や「筋力」を効率的に使うことができるように
なります。

身体を統合的に使うことができる

体軸とは一般的に重心軸のことをいいますが、他にも体軸は存在します。
ここでは前腕の体軸を例に説明します。

手の平を回転させる場合は前腕の体軸、つまり「中指の先端から肘を結ぶ軸があり、
この軸を回転させる」イメージで行うときれいな動きになります。

体軸とはあくまで自分で感じているものですので、実際にはそのような
骨や筋肉などはありません。

ですので手のひらを回転させる際に「体軸」をイメージすると回転に関連
する骨や関節、筋肉などが統合的に動きます。
この場合は、手指・手のひら・前腕部ですが、体軸に直接関連しない上腕部も
動いていることが分かるでしょう。

重心軸を体軸とした場合はもっと広く、身体全体が体軸の動きに関連しますので
体軸を意識することで、全身の骨や関節、筋肉などを統合的に使うことが出来るようになります。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。

このメソッドを見つけたきっかけは、古武術の稽古前の準備運動中でした。
その日、どうしても肩の力が抜けず違和感を感じていたので、これをほぐそうと
身体を揺らすように回したところフッと肩の力が抜けたのです。

直感的に「これは体軸を整えるのに良いな」と思い、その後、いろいろ試行錯誤
しながら現在の方法になりました。

その方法とは
 立った状態で体軸を支持基底面上で時計回りと反時計回りに回すだけ

具体的には
 ① 左右の前足部(拇指球と小指球)と踵で体軸を支えて時計まわり・反時計回りに
   まわす。
 ② 左右の拇指球と踵で体軸を支えて時計まわり・反時計回りにまわす。
 ③ 左右の小指球と踵で体軸を支えて時計まわり・反時計回りにまわす。 です。

「体軸まわし」は簡単な動作で体軸を整えることができるが最大の特徴です。
練習中や競技中でもわずかな時間・場所があれば行うことができます。
もちろん体軸を強化することができます。

体軸が整うと身体のパフォーマンスが向上するだけでなくメンタルも整います。
ぜひ、トレーニングや競技などでのパフォーマンス向上のために体軸まわしを
取り入れてみでください。

この記事が皆様の身体創りの一助になれば幸いです。



プロフィール
オワス

九州生まれ北海道在住1968年生まれ 
武道・武術などを通じて日本古来の文化に出会い、以来30余年にわたり身体運用や心身を健康に保つ方法などを学び日々の生活に取り入れ楽しくすごしています。
「この素晴らしい文化を少しでも多くの人に知ってもらいたい!」とこのサイトを立ち上げ情報発信しています。

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