楽なほうに動いて体のひずみをとる操体法とは

ヘルスケア

腰痛や肩こりなどを改善するために整体やマッサージを受けてもその場しのぎ。数日間しか効果が続かずに元に戻ってしまうことはありませんか?その原因の一つは体のひずみ自体がとれていないことにあるんです。今回紹介する「操体法」は自宅でできる体のひずみをとる健康法です。その特徴は「楽なほうに動く」こと。この記事ではそんな操体法の基本的な考え方と実施手順を紹介します。

操体法とは?

操体法とは医師であった橋本敬三氏が西洋医学の限界を感じ、民間療法
や気功導引などを研究、集大成しつつ単純化して生み出された身体調整
法です。

操体法の考えかたの基本は「からだの設計にミスはない」です。

そのため「何々病を治す」という発想ではなく、
「生活のまちがいからおこる体の歪みを正せばおのずと健康になる。」
という考えかたを元に「呼吸」と「運動」を組み合わせておこなう
運動療法となっています。

一つ一つの運動は簡単で誰でもできます。

二人で行う操体法もありますが、この記事では一人で行う操体法について
紹介します。

操体法の基本的な動きと動作

操体法の基本的な動きと動作についてです。

操体法の動きの原則は「楽な方、気持ちの良い方に動く」です。

まずは「動診」により痛みやひきつれなどが強い箇所を見つけ
そのあとに「楽な方、気持ち良い方に動き」からだの歪みをとります。

動診のやり方

動診のやり方は
「関節などを動かして痛みや不快感を感じる方向や部位を探す」
です。

関節は前後左右、斜め四方の八つに加えて左右のひねりと
伸展と縮小の方向に動きます。

それぞれの方向に動かしてみると痛みや不快感のある方向や
部位が判ると思います。

皆さんも日常生活において無意識にやってますね。

例えば肩がこっている時などに首を回して
「ああ、ここが一番こってるな」とかやりますよね。
あの動きです。

動診を行うことにより対象となる筋肉を浮かびあがらせる
ことができるんです。

※その他に「圧痛点を探す」方法もありますが
 これについてはまた別の記事で紹介したいと思います。

負荷をかける

操体法はそのまま「楽な方に動く」だけでも良いのですが
動きに負荷をかけることでより効果を得ることができます。

負荷をかけることにより「緊張」と「弛緩」の差が大きくなるんですね。

わずかな負荷を加えるだけ十分です。
大きな負荷は逆効果となります。

負荷のかけ方は
 1 呼吸を使う
 2 手などで動きを止める。 の2つです。

手などで動きを止める方法のほうが負荷をコントロールし易いですが
どちらの方法を選んでも良いです。
部位や痛みの大小によって選んでください。 

いずれにせよ「強い負荷は厳禁」です。 

脱力して緊張をとる

負荷をかけた後は脱力して緊張をとります。

首を左右に倒す場合を例にとると
 1 首を左右に倒して「動きの楽なほう、気持ち良いほう」を探す⇒動診
 2 動きの楽なほうに首を倒す。
 3 負荷をかける。
  (呼吸を使う場合)⇒この状態で息を吸うと首筋が軽く緊張します。
   (手など動きを止める場合)⇒手を頭部にあて軽く押して抵抗を加えます。
 4 吐く息とともに首を戻す。
 という動きになります。

この一連の動きを3~5回繰り返します。

このあと動きが悪い方に動かしてみると先ほどより楽になっているはずです。

体の歪みをとる予防としての操体法

操体法はコリや違和感の解消法として行うのも良いのですが
予防法として行ってもとても効果があります。

基本的な方法を4つ紹介します。

かかと伸ばし

かかとを伸ばすだけの動きですが全身に連動して歪みをとります。

【動診のやりかた】
 1 仰向けに寝て両足を真っすぐにのばします。両手は下腹あたりにおきます。
 2 片方ずつ、かかとを押し込むようにゆっくり伸ばしていきます。
 3 左右どちらかの足が「楽にのばせる」か感じます。
【操法のやりかた】
 1 動診で判定した楽に伸ばせる方の足をゆっくり伸ばします。
 2 この時に腰から背中、首すじまでモゾモゾと動かして気持ちのよい姿勢
   を探します。
 3 一番気持ちのよい姿勢で3~5秒呼吸を止めて緊張させます。
 4 息を吐きながら全身の力をストンと抜き緊張をとります。
 5 一呼吸おいて同じ足ほうの足を3~5回繰り返します。   

つま先反らし

かかとを反らすの動きです。
かかと伸ばしと同様に全身に連動して歪みをとります。

【動診のやりかた】
 1 仰向けに寝て両足を肩幅ぐらいに開き、足の裏を床につけ膝を曲げます。
   両ひざは軽くふれる程度にして、両手は下腹あたりにおきます。
 2 片方ずつ、つま先をゆっくりを持ち上げて反らせていきます。
 3 左右どちらかの足が「楽に反らせるか」か感じます。
  (この動きは楽な方向が分かりにくいので両足でOKです。)
【操法のやりかた】
 1 動診で判定した楽に反らせる方の足をゆっくり反らせます。
  (うまく判定できない時は両足で結構です。)
 2 この時に腰を反らせたり捩じったりとモゾモゾと動かして気持ちのよい姿勢
   を探します。
 3 一番気持ちのよい姿勢で3~5秒呼吸を止めて緊張させます。
 4 息を吐きながら全身の力をストンと抜き緊張をとります。
 5 一呼吸おいて同じ足ほうの足を3~5回繰り返します。   

ひざ倒し

腰、骨盤のバランスがとれ腰痛や背中の痛みが非常に楽になります。

【動診のやりかた】
 1 仰向けに寝て足の裏を床につくように膝を直角に立てます。
   両肩は床に着けたまま、両手は下腹あたりにおきます。
 2 両足を揃えたまま左右にゆっくり倒していきます。
 3 左右どちらかの足が「楽に倒せる」か感じます。
【操法のやりかた】
 1 動診で判定した楽に倒せる方に両ひざを倒していきます。
 2 一番気持ちのよいところまで倒したら3~5秒呼吸を止めて緊張させます。
 4 息を吐きながら全身の力をストンと抜き緊張をとります。
 5 一呼吸おいて同じ足ほうの足を3~5回繰り返します。   

ひざのひき上げ

かえるのようにひざを脇に引き上げる動きです。
腰回りや背中の緊張を和らげ、股関節やバランスを調整します。

【動診のやりかた】
 1 うつ伏せなって足を伸ばして寝ます。
   顔は左右どちらでも楽な方に向け両手は耳の横あたりの楽な位置に置きます。   
 2 左右の足を片方ずつ、つま先を伸ばすようにして、ひざを曲げながら
   脇のほうにゆっくり引き上げていきます。
 3 左右どちらの足が「楽に引き上げれる」か感じます。
【操法のやりかた】
 1 動診で判定した楽な足のほうを引き上げます。
 2 楽なところまで引き上がったら3~5秒呼吸を止めて緊張させます。
 4 息を吐きながら全身の力をストンと抜き緊張をとります。
 5 一呼吸おいて同じ足ほうの足を3~5回繰り返します。 

操体法を行う際の注意点

操体法を行う際の注意点です。

強い負荷は厳禁

操体法は緊張と弛緩をうまく使って体の歪みをとります。
この時に効果をより上げようと強い負荷をかけるのは厳禁です。

負荷をかける際も「心地良い」が基準です。
必要以上の負荷をかけると逆効果となります。

呼吸を止めて緊張をつくる時も注意が必要。
どうしても「いきみがち」になりますが、呼吸を止めるだけで
充分な負荷は作り出せる
ので意識してください。

強い痛みを伴う場合はその動作をやめる

操体法は動診よって操法を行う方向を見極めますが、
その際に強い痛みを伴う場合はその動作はやめましょう。

そんな時は痛みが軽くなる姿勢を取ります。
動きは伴いませんがこれも一種の操体法ですね。

2~3日経ってから操法を行いましょう。

強い痛みが続く場合は医療機関を受診してください。

まとめ

今回の記事では操体法を、その中でも「予防としての基本的な操体法」
を4つ紹介しました。

その4つの操体法は
【仰向けで行う】
 かかと伸ばし、つま先反らし、ひざ倒し
【うつ伏せで行う】
 ひざの引き上げ
でしたね。

いずれも骨盤を含む下半身を整え全身の歪みをとる操法です。
基本的かつ簡単な操法ですが効果はバツグン!

操体法は創案者の橋本敬三氏が誰もが使えるようにその内容を包み隠さずに
オープンにしました。
そのためお弟子さんも多く様々な操法があります。
操体法の本もいろいろ出ていますので興味のある方はぜひチェックしてみてください。

今回紹介した操体法もごく一部の操法です。
機会があれば症状別の操法も紹介したと思います。

自分で自宅で出来る整体「操体法」
ぜひ生活の中に取り入れてみてください。

この記事が皆様の身体創りの一助になれば幸いです。

プロフィール
オワス

九州生まれ北海道在住1968年生まれ 
武道・武術などを通じて日本古来の文化に出会い、以来30余年にわたり身体運用や心身を健康に保つ方法などを学び日々の生活に取り入れ楽しくすごしています。
「この素晴らしい文化を少しでも多くの人に知ってもらいたい!」とこのサイトを立ち上げ情報発信しています。

オワスをフォローする
ヘルスケア
オワスをフォローする

コメント