「忍者走り」と聞いて、どんな走りを思い浮かべますか?多くの方は、アニメなどでよく見かける「両腕を後ろに伸ばし、前傾姿勢で疾走する姿」(いわゆるナルト走り)を想像するかもしれません。しかし、この記事で言う「忍者走り」は、少し異なる姿勢をとります。それは「半身(はんみ)を保ち、前手は90度に曲げ、後手は後ろへ伸ばす」という独特な姿勢です。一見すると少し不思議に思えるこのフォーム。なぜわざわざ走りづらそうに見える「半身の姿勢」なのでしょうか?今回は、この姿勢に隠された合理性と、現代のランニングや身体操作にも通用する「和の身体操作」のメカニズムを紐解いていきます。
忍者走りとはどのような走り方?
フィクションの世界で描かれる「両腕を後ろに伸ばす走り方」(いわゆるナルト走り)は、アニメ的な躍動感の表現や、背中の装備(刀や巻物)に手が届きやすくするための演出という側面が強くあります。また、マラソンなどで、「両腕を脱力して伸ばし、歩幅を狭くした小走りで走る」ことを忍者走りと表現されることもあります。
一方「体を半身にして、前手の肘を90度に曲げ、後手を伸ばす走り方」を忍者走りと認識している方もいます。少し年齢が上の方はこの方がしっくりとくるのではないでしょうか。
この記事でもこの走り方を忍者走りと書いていきます。
具体的には次のような感じですね。
- 体幹:進行方向に対して体を斜め〜横に切る「深い半身(はんみ)」
- 前手(前側の腕):肘を約90度に曲げて胸の前に配置する
- 後手(後側の腕):肘を後ろに伸ばしたまま保持する(多少は腕を振ることもある)
胸を前に向けて腕を前後に大きく振る現代の走りかたとは、根本から構えが異なります。
「飛脚走り」と同調する、体をねじらない姿勢の体使い
この「半身の姿勢」で走るメカニズムは、江戸時代に江戸〜京都間をわずか数日で駆け抜けた「飛脚(ひきゃく)の走り」とまったく同じ根っこを持っています。

一般的なランニングは、上半身と下半身を反対方向に「ねじる(旋回)」ことで推進力を得ます。しかし、忍者走りや飛脚走りの姿勢は体幹を一切ねじりません。
- 体幹の非旋回:胴体を絞らないため内臓への負担がなく、疲労が劇的に少ない。
- 腕を振らない:半身の姿勢を保って走るため、腕の振りが抑えられる。荷物が揺れない。
- ナンバの理合い:右脚が前の時は右の腕・腰が前、左脚が前のときは左の腕・腰が前(同側の同調)。
- 「膝抜き」による重力移動:地面を力任せに蹴るのではなく、前傾と膝の脱力(膝抜き)によって前に落ちるエネルギーを利用する。
頭の高さが変わらず、上下動のない「スーッ」と滑るような移動ができるため、体のブレが抑えられ
長距離を省エネで走り抜けることができるのです。
実践:忍者走りで走ってみよう
実際に忍者走りで走ってみましょう。
私は走っていてすごく楽しくなります。「体が求めていた走り方」って感じですね。
見た目は少し変わってますが…
「姿勢」と「動作」について説明します。
姿 勢
- 半身のとりかた
両足を揃えて立った状態から、左足を一歩または半歩、前に出します。両足先は進行方向に対して真っすぐで構いません。ここから体を右に回します。左ひざが動かないよう注意してください。「左ひざが動かない位置」までが半身の最大値です。 - 腕の位置
左腕は90度に曲げ、肘を横に張って胸の前に構えます。曲げた肘を下に向けた形でも結構です。(私は下向きで走ります。この方が見た目が自然なので…)これだと飛脚に近くなりますので、「忍者走り」を満喫したい方は肘を横に張って構えてください。右腕は自然に伸ばしておきます。
動 作
姿勢がとれたら走ってみましょう。
- 足の運び
(左足前の構えの場合)右足が左足を追い越す時に腰を回さないようにします。最初に半身の姿勢をとった腰の角度を変えずに足を前に出していきます。腰の動きを止めておけない人は「左腕を動かさないよう」に意識するとやり易くなります。 - 腕の振り
前の腕は動かさいように固定しておきます。後ろの腕はのばしたままですが、多少振っても大丈夫。体のブレは発生しません。私の場合は、多少振った方が体がリラックスします。 - 膝を抜く
推進力は「膝の抜きによる重心移動」です。半身であるため、すでに片側の軸に重心がのっているので「膝抜きによる重心移動」が体感しやすくなっています。
体の前傾姿勢はそれほど意識しなくても結構です。速度に合わせて自然と深くなっていきます。
長く走る場合は、左右の半身を変えると良いでしょう。左右差は必ず発生しますので気になさらずに。ちなみに走る場合の基本は「左足が前の半身」です。
まとめ:現代の動作やトレーニングにも通じる「和の身体操作」の真価
今回の記事では「忍者走り」について、その「姿勢」と「姿勢に隠された和の身体操作」、そして「忍者走りの実践」について説明しました。
忍者が見せた「半身・前手90度・後手伸び」という独特な姿勢は、日本古来の「和の身体操作」の理合いが集約された形だったのですね。
- 胴体をねじらず、軸を保つ(体幹の非旋回)
- 地面を力で蹴らず、膝抜きと重力で滑らかに移動する
西洋的な「筋肉の力で力強く地面を蹴り、体をひねって推進力を生む」運動理論とは異なり、和の身体操作は「骨格の構造を活かし、重力を味方につけ、身体のブレを最小限に抑える」という非常に省エネで合理的なメカニズムに基づいています。
この身体運用は、現代のランニングやスポーツにおけるパフォーマンス向上、さらには日常の立ち姿や歩き方、疲れない身体づくりにおいても大きなヒントを与えてくれます。
「力で押す」のではなく「骨と軸をしなやかに使う」——。かつての忍びや飛脚たちが体現していた「和の身体操作」の奥深さを、ぜひ日常の動作のなかで意識してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事が皆様のからだ創りの一助になれば幸いです。

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